みなさん良くご存じですよね。今エンジニアさんが足りないのです。
何となく感覚として分かりますが、データ的にどうなのでしょう。
「IT人材白書」ってご存じですか?毎年4月にIPA(独立行政法人情報処理推進機構:長いです)が年に1回出す、IT人材の調査報告です。白書なんて面白くないなんて言われるでしょうが、最も包括的なIT人材調査資料です。2018年度版は2017年の調査ですので、ちょっと前になってしまうのですが、1年ごとにデータが激しく上下するのが驚きです。真面目に読むと結構なるほどと思うのです。論拠を示すデータとしてはかなり役立ちます。
その中で一番注目された質問は”IT人材の量に対する過不足感”です。IT企業とユーザ企業さん両方のデータが出ています。
IT企業側の立場で年次推移を見ますと、2017年は2007年から”大幅に不足している”という回答が史上最多29.5%になっています。2016年は一時的に向上したのですが、2017年はかなり悪化しています。
2018年はどのような感じでしょう。まだ結果見られていませんが、より悪化しているように思います。
2019年を境に退職者が入職者を上回っていくため、減る一方になります。ではここ数年も増えているのでは無いかといわれそうですが、若手の割合が減って、中高年が増えている。そこで需要のミスマッチが起きていると思われます。この傾向はユーザ企業さんの立場から見ても同様です。
ではエンジニアさんは引く手あまたなのでしょうか。少し違う面も見えてきます。
前回40代の方はまだ現役という話をしました。先述の通り、若手がかなり減っているので、従来なら採用していなかった中高年を取り始めているユーザさんも多くあります。
ただし、中高年の割合も増えているので、その中での競争が激しくなっている側面もあります。
質はどうなの?ということになりますが、IT企業側はこれはずっとあまり変わらなかったのですが、2017年に「大幅に不足している」がここ数年最悪の29.7%です。ユーザ企業さんはここ数年あまり変わりませんが、30%を超えています。量的に足りないため、必要な質も確保しずらくなってきたというところもありますが、分野によって差があります。
先程の「IT人材白書」ではエンジニアさんのタイプを価値創造型、課題解決型に分けます。
価値創造型はユーザ企業さんの価値創造が目的、要件が不明確、スピード感重視、アジャイル開発。
課題解決型はユーザ企業さんの既存事業の効率化が目的、要件は明確に決まっている。確実性を重視、ウォーターフォール開発が主です。
大雑把な分類ですが、こう分けたときにIT企業では価値創造型の質が大幅に不足しているのが31.5%、課題解決型が20.5%でかなり差が出ます。ユーザ企業さんだと44.5%と22.1%とかなり差が出ます。
となるとエンジニアの皆さん自分のスキルアップの為に必要なことが1つ分かりますよね。
もちろんエンジニアさんは足りないのですが、年齢があがるにつれ世代内の競争が激しくなる、その中で必要なスキルを身につけているとかなり優位になります。逆に必要なスキルをもっていないと、エンジニア不足の恩恵をあまり得られない可能性があります。
(続く 次回はエンジニアの質についてもっと掘り下げます)